ボツリヌス治療を希望される方へ

診療所一時閉鎖のお知らせ

大切なお知らせ

平成28年6月4日をもって一時閉院いたします。

 八重洲地区の再開発事業に伴い、当院が入居しているビルが取り壊しの予定となりました。したがって診療の持続ができなくなりました。つきましては、諸業者などとの関係上、平成28年6月4日(土)を最終診療日として、閉院をせざるを得なくなりました。
 ボツリヌス治療の対象疾患は多技にわたり、欧米ではかなり広く普及しています。日本では保険医療ではかなり限定的な承認のみで、今後これらが他の疾患にも拡大されることは難しいことが予測されています。保険治療では対処不能な症状・疾患で、ボツリヌス治療の有効性が高いものは多いので、それらの情報が広がるにつれ今後自由診療での需要は徐々に増えてくることが予測されます。
 ボツリヌス治療は、個々の疾患に対する諸知識を心得ていないとなかなか成績が向上しないという独特の癖があり、治療対応ができる施設は徐々に増加したとしても、迅速には進まないと考えられます。
 これらの事情から、都内で同様の医療を提供する必要性を感じますので、当院としても陣容を整えるために、数年間の時間をいただき、いずれ毎週末(土あるいは日)に治療施設を再構築することを考えています。

名古屋の寺本神経内科クリニックで診察いたします。

 ボツリヌス治療を希望される方は、大変ご不便をかけますが、名古屋【寺本神経内科クリニック】では従来通り診察を実施していますので、ご利用ください。場所は名古屋駅から徒歩5分です。なお、八重洲痛みの診療室の閉院により、7月より第3日曜を取り敢えず臨時で開設し、患者さんの動向を見て、定着化を考えています。
 なお、日曜日はビル管理場正面入口は閉鎖していますから、ビルの裏口に到着されたら、電話していただきスタッフが開錠することにしています。必ずあらかじめ予約してください。

寺本神経内科クリニック

TEL 052-564-7481

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〒452-0002 名古屋市中村区名駅4-25-17 三喜ビル7F
診療日:火・水・木曜、第1日曜 10:00〜13:00 / 15:30〜18:30(受付18:00迄)

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  3. No.001「薬物乱用頭痛は医療過誤によるのか?」
痛み症状別解説 花粉症のボツリヌス治療 歯ぎしり・食いしばりのボツリヌス治療 片頭痛のボツリヌス治療 緊張型頭痛のボツリヌス治療 群発頭痛のボツリヌス治療 脳卒中による後遺症のボツリヌス治療 五十肩・肩こりのボツリヌス治療 美容面でのボツリヌス治療

薬物乱用頭痛は医療過誤によるのか?

 医療機関で片頭痛に用いられている薬剤は、トリプタンが中心となっています。トリプタンは総称で、個々にはイミグラン®・、ゾーミッグ®・、レルパックス®・、マクサルト®・、アマージ®があります。経口薬のほか製剤によっては口啌内溶解錠、注射剤が発売されており、イミグラン錠とゾーミッグ錠はすでにジェネリックも発売されています。
 日本ではトリプタン系は2000年以後に発売になりましたが、すでに1990年代には欧米ですでに発売になっていました。トリプタンは頭痛を抑制する作用は強いのですが、有効時間が必ずしも長くないところから、薬が切れる時間帯に再度頭痛が現れる(再発性頭痛あるいは反跳性頭痛)ことが、結果的に薬の使用回数が多くなり、多くなると徐々に効かなくなることが分かっていました。これを薬物乱用頭痛と呼ぶことになるのですが、トリプタンによる乱用頭痛は、それまでの頭痛薬 (鎮痛薬やエルゴタミン剤)による場合に比べて頭痛の程度が強くなることも分かってきたのです。
 これらに対する対策として、1990年代後半には欧米では盛んに検討がおこなわれました。そのもっとも重要な対応策としてボツリヌス剤が考えられたのです。1990年代前半に、しわ伸ばしの治療中、片頭痛を偶発合併していた女性が、同時に片頭痛も改善したというし偶然の発見に基づくものです。その後ふつうの片頭痛、緊張型頭痛、慢性連日性頭痛(多くは今で言う薬物乱用頭痛)などの調査結果が次々に報告されました。よい結果の報告もあれば必ずしもそうでないものもありましたが、これを契機に欧米で、大規模な調査が行われるようになったのです。
 さらに従来、毎日服用することによって頭痛の頻度が低下させる作用がある頭痛予防薬と呼ばれる薬剤(トリプタノール®・、インデラル®・、デパケン®・など)は、一旦薬物乱用頭痛に陥るとほとんど効果を示さないことが分かり、2003年に国際頭痛学会で示されました。
 (文献の発行は2004年)そこで、薬物乱用頭痛の診断の規定がなされるとともに、薬物乱用頭痛に陥ると従来の予防薬はほとんど効かないことが明言されました。

 日本でのトリプタン系の発売開始は、イミグラン®・(スマトリプタン)が2001年、ゾーミッグ®・(ゾルミトリプタン)が2002年、レルパックス®・(エレトリプタン)も2002年、マクサルト®・(リザトリプタン)が2003年、アマージ®・(ナラトリプタン)が2008年です。これらからわかるように、欧米で従来の予防薬がほとんど効かないことが明言された後で日本で発売となっているのです。
 ボツリヌス剤については、さまざまな検討の後、欧米で実施された大規模な臨床試験の結果、2010年に有効性が証明され、米英では数カ月のうちに国家承認となりました。他の欧州諸国でもこれ契機に広く普及してきました。ボトックスですべての患者が乱用から脱却できるとは限りませんが、一応の対応策が確立したということになりました。
 さて問題となるのは国内の頭痛学会の対応です。発売当初から『効果が高い薬剤であるとは言え、薬が切れると再発性の頭痛が現れやすい』ことが分かっていたところから、処方に当たっては、この点を一般学会員へ伝える必要があったはずですが、そういった注意点を明確に喚起しませんでした。さらに2004年には、『トリプタンで生じた乱用頭痛は、従来の予防薬では効果が得られない』ことを追加して患者に説明する必要性が確認できたはずですが、それも喚起する声はありませんでした。
 その後、学会のガイドラインで、薬物乱用頭痛は突然頭痛薬を中止にしたり、隔離入院することが推奨されていますが、必要以上に使用し過ぎていた患者だけは減らすことができても、元来頭痛が存在するために使用していた患者にはすぐに止めさせるのは人道的に無理があり、結局他の施設での処方を受けたり、不足分を一般鎮痛薬を使用する結果になります。一般鎮痛薬は効果が弱いので多量になりがちです。そもそも隔離入院になる可能性がある薬剤と分かっていて始めから欲しがる患者はどのくらいいるのでしょうか?
トリプタンを止められた患者は、10回/月程度の再処方を受けたとしても、不足分は効果の弱い鎮痛薬を大量に使用する結果になり、トリプタン乱用頭痛だけでなくトリプタン+鎮痛薬の乱用頭痛を新たに作りだす結果となったのです。ある統計では頭痛を診療している施設の患者ではすでに約14%が薬物乱用頭痛であるとされています。
 2010年のボツリヌスの有効性の成績は、片頭痛として報告されていますが、対象例が20回/月以上の患者群であり、薬物乱用頭痛でもあったわけで、頭痛薬を利用しつつ頭痛の頻度を減らしていくという点で無理がない治療法と言えます。この外国での報告と完全に同様の方法で日本人にうまくいくのかどうかは、いくつかの課題がありますが、それは別として2010年以後は『保険は適用ではないが、乱用頭痛の脱却法がみつかった』くらいの説明も付け加えられるべきであると考えます。

 いずれにしても、すでに分かっているいくつかの問題や課題をかかえた薬剤を処方するにあたっては、それなりの説明責任が必要です。患者はそれを聞けば、覚悟したうえで使用するか、もう少し待ってみる、などという選択ができるはずです。
 トリプタンが発売になったとき、頭痛学会の指導層がテレビで盛んに「片頭痛の特効薬」と訴えかけました。さすがに製薬会社の中にも驚く声があったのも事実です。
以後トリプタンの処方を念頭に置いて次々に頭痛専門医を認定し、トリプタンの処方を煽るように広めてきたというのが実態なのです。
 将来薬物乱用頭痛に陥る可能性を知りつつ、それをなるべく隠しつつ処方を勧めるのは大問題です。トリプタン以前の薬剤、鎮痛薬やエルゴタミンでも乱用になる人がいたのは事実ですが、トリプタンが発売されて以来、より強い乱用頭痛になり、かつそういった患者が大きく増えてきているのは事実です。
 だれもが製薬会社と学会の関係に気づきますが、この事実から学会の方がむしろ製薬会社に擦り寄っている構図となっているのです。
 かつて血液製剤の問題があったとき、エイズウィルスが見つかったことを隠して製薬会社との関係を保とうとした事件がありました。
それと同じ構図になっているのです。乱用頭痛になりやすいことが分かっているにも関わらず、有効性が期待できない予防薬の処方に意見することもなく、外国で国家承認された新たな方法にも言及することなく、実効性のある対応をとらないのは、医学的に完全にモラルに反しています。このままでは薬害であり、医療被害と評価されてもなんの抗弁もできないでしょう。学会とくに臨床系の学会はあらたな治療法がみつかったとき、すぐに実効性が得られなかったとしても、将来に向かって積極的にそれを広めていくという責務があるはずです。それに逆行しているのです。
 元来生活改善治療であるはずの頭痛治療が、結果的にひどい頭痛が連日になってしまった、というのでは本末転倒です。しかも改善の可能性があるのにその方策を隠して一般学会員に情報として提供しない、というのは驚くべきことです。現在のままでは今後とも薬物乱用頭痛が増え、『被害』期間も延長していくことになるでしょう。
 一般に科学はあとになってうまく行かないことが分かることがあります。それはそれでしかたがないことなのですが、分かっていて隠すというのは、学会としては恥ずべき行為と言えるでしょう。
 ある弁護士と会話をしたときにこの話をしたところ、担当医およびそれを指導するべき学会の両者に対して、説明責任を果たしていないというモラル違反に対する民事上の責任を問うことができるとの見解でした。これはボツリヌス治療の実施とは無関係の問題であり、その後ボツリヌス治療をした場合には、うまくいったならそれまでの損失について、運悪くうまく効果が出なかった場合には、一生頭痛が続く可能性があることに対する慰謝料請求が可能である、との見解を聞くことができました。それも『社会的解決策』のひとつとして考えざるを得ないというのが昨今の実感です。

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