片頭痛の症状の概要

頭痛のイメージ画像

片頭痛は、治療の要不要は別にして、国民の10~20人に1人くらい存在することが推定される頭痛です。

発作的に頭痛が現れ、概して片側に強く,脈に一致した拍動感を伴う頭痛です。
頭部の動脈が拡張し、脈の圧変化で押し広げられるのでズキンズキンとした拍動感が現れるのです。
頭痛発作は1~3日で一旦終了し、非発作時には基本的には何の症状もありません。
痛みの程度はかなり個人差があり、日常生活や就業に支障がある程度から、いくらか気になるという段階差があります。

若年期に発症し、高齢になると軽快~消失します。
妊娠中は軽減する人が多いのが特徴です。頭痛発作の少し前に、目の前が見にくくなったりする前兆が出る人がありますが、そうでなくても生あくび、首の張り、なんとなく予知できるなどの症状が先行することがほとんどです。

対比される頭痛として、緊張型頭痛があげられます。これは肩こりなどを伴うことが多く、左右差がなく、非発作性、すなわちだらだらと持続する頭痛で、一見簡単に区別することができます。
ところが、片頭痛も高頻度で使用する薬剤の影響や年齢が変化する影響によって変化し、頭痛発作がないときにもこの緊張型頭痛のような頭痛が続くようになり、最終的には片頭痛なのか、緊張型頭痛なのかはっきりしなくなってしまうことがあります。

頭痛に対する薬剤を使っていてこの効果が落ちたりして多用する場合には薬剤乱用頭痛と呼ばれることもありますが、薬剤とは関係なくこのような状態に陥った場合には慢性片頭痛と呼びます。厳密には薬物乱用頭痛と慢性片頭痛の区別は簡単ではありません。
その他、まれながらいくらか別の症状が加わるような特殊な病型も存在します。

この記事を書いた人

寺本 純

1950年生まれ、名古屋大学医学部卒。しびれ、めまい、頭痛など外来の神経疾患を得意とする。著書『臨床頭痛学』(診断と治療社)は国内初の医学専門書で頭痛専門医の必携書となっている。片頭痛、郡発頭痛、肩こりの目立つ緊張型頭痛へのボツリヌス治療を国内最初に実施し、その治療成果を多くの学会、文献で報告している。さらにボツリヌスが末梢神経に作用する点に着目し、肩関節周囲炎や膝関節炎、花粉症にも国内で初めて応用し、優れた成績を医学報告している。現在は名古屋の寺本神経内科でボツリヌス治療を行っている。