ボツリヌス治療に関する医学情報

しわ伸ばしでよく知られるようになったボツリヌス治療は、欧米では各種の痛みなどに広く普及しています。
日本では、医学会が医師会の下部に位置づけられており、すべて保険診療堅持の影響で情報統制が行われています。
しかし自費診療という方法がありますから、医学情報について解説します。

〔1〕群発頭痛

群発期が来たら、1回きりの治療にて、大半の患者さんは数日で消失します。群発期は平均1~2年に1回ですから、結果的に安上がりの治療になります。

〔2〕食いしばりと歯ぎしり

自覚できる食いしばりは、人口比10~15% とされます。歯周病悪化の最大要因で、歯周病菌がアルツハイマー病の原因であるアミロイドβを産生することが判明しまてきました。また片頭痛の頻度増加、緊張型頭痛の要因、肩こりの悪化に関係します。
この治療はボツリヌスのみです。数カ月おきに治療しますが、数回後には半年以上効果も持続するようになります。
歯科では医師法上投与部位に制限があり、美容では『えら張り』のみなので対応が十分とは言えません。

〔3〕複雑化した片頭痛

欧米では、一般的に実施されしています。日本では、学会の失策で保険申請できていません。3カ月おき4~5回の投与で、元来の頭痛頻度に戻ります。

〔4〕肩こり

一部美容系でも対応していますが、神経学の知識がないとなかなかうまくいきません。1回の治療で、完治はしなくても軽快した状態が得られ、長く続きます。

〔5〕腰痛

腰痛の過半数は、筋肉由来の痛みで、骨や軟骨への治療では無効で欧米ではこの治療がかなり用いられます。1回の治療でかなり長く効果があります。上記肩こりの腰バージョンと考えてください。

この記事を書いた人

寺本 純

1950年生まれ、名古屋大学医学部卒。しびれ、めまい、頭痛など外来の神経疾患を得意とする。著書『臨床頭痛学』(診断と治療社)は国内初の医学専門書で頭痛専門医の必携書となっている。片頭痛、郡発頭痛、肩こりの目立つ緊張型頭痛へのボツリヌス治療を国内最初に実施し、その治療成果を多くの学会、文献で報告している。さらにボツリヌスが末梢神経に作用する点に着目し、肩関節周囲炎や膝関節炎、花粉症にも国内で初めて応用し、優れた成績を医学報告している。現在は名古屋の寺本神経内科でボツリヌス治療を行っている。