座骨神経痛は有名な症状で、お尻の部分から大腿後面、さらに症状が強いと下肢の方までしびれや痛み、違和感が発生します。この原因は脊髄から枝分かれする神経根に対する圧迫などで生じるとされていました。もちろんそれも事実ですが、その神経のもう少し下の部位で圧迫されるケースが多いことが知られるようになりました。その圧迫部とはお尻の部分です。お尻の上寄りの部分を押さえてみると筋肉性の痛みを感じることがあります。この部分に存在する梨状筋が、緊張で固くなったり、肥大したことによって骨との間を走行する座骨神経を圧迫することになるからです。
座っているときよりも立ったり、歩いているときの方がお尻の痛みや座骨神経の症状が軽い傾向があります。動きによって神経への圧迫が変動するからです。
最近欧米では、座骨神経痛は、この梨状筋による圧迫の可能性は30~60% が同筋の圧迫によるとの報告もあります。
梨状筋へのボトックス投与によって、筋肉の異常緊張が和らいだり、またその状態が続くことによって過剰に肥大した筋肉が小さくなることによって改善をもたらします。
ときどき反復投与が必要な人もいますが、たいていは2~3回の注射後には、敢えて注射の必要がなくなったり、調子が悪化したときの不定期投与で済むようになります。
〔文献〕
1)Childers MK, Wilson DJ, Gnatz SM et al. Botulunum toxin type A use in piriformis syndrome. A pilot study. Am J Phys Med Rehabil 2002;81:751-759